短い夏が終わりさっさと秋がやってきたと思ったら、
いつまでも蒸し暑い気候が続いていますね。 みなさんお元気でしょうか? さて、今日はいよいよ僕の乗っているヨット・ドラゴンクラス 「Rainbow Seeker」の話しの続きです。 時間は少しさかのぼり今年の浅い春のはじめ。 さあ、また久しぶりのヨットライフ!と、 Rainbow Seekerに乗り始め練習開始。 久しぶりのヨットの感覚を味わいつつ、勘を取り戻しつつのセイリングは、 五感の全てを使い集中し、終わると心地よい疲労が得られます。 ドラゴンは3人一組のチームで帆走するのですが、 もちろん、この強者どもが集う西宮にはクルーの候補がたくさん集まっています。 ・・・が、どうせチームを組むならJIBのスタッフだけで固めたら、どんなに素晴らしいでしょう。 そこで僕は乗り始めてすぐに、 「JIBチーム結成 → 育成 → (できれば)一勝」 が、今年の大きな目標になりました。 とはいえ、実は現在、JIBスタッフにはヨット経験者がほとんど居ない状況で、 主力メンバー2名を選抜したのですが、2名とも全くの素人。 前の記事にも書きましたが、ドラゴンという船は遊びの部分がほとんどないレース志向で、 故に知識と技術を要求されるため、そう簡単に乗りたがる人も居ないようなヨットです。 要するに、難しいんです。 それにいきなり全くの初心者にチャレンジさせようというのだから、大胆です! でも、とにかくJIBスタッフだけでレースに出て勝つという事を目標にしたかったのです。 Rainbow Seekerズッコケチームの結成です。 そうして、僕たちは練習をスタートをきりました。 まずはそれぞれに役割を決めることから始まり、 初心者の二人には早速幾つかの重要な課題が課せられました。 すばやくロープワークができること、 ヨットの名称を覚えること、 キャットリグ(一枚帆)のディンギーを一人で乗れること、 そして動作が素早くあること、という内容でした。 彼らはそれを必死に(?!)覚え、また海に行っては実践し、 夏が来る前には何とか一人でヨットに乗れるようになっていました。 でも、ヨットというのはただ水の上を移動する乗り物ではないのです。 海でのさまざまな体験、 波や風という自然や地球といった大きな存在と今までとは全く違うアプローチで対峙することは、 さぞかし刺激的であるでしょう。 風の力を感じ、太陽のきらめきや波の揺れ、匂い、五感の全てが開いてゆくような体験です。 穏やかな湾内で練習していても、少しは「死」が近いところにあるということも、体験する事もあるでしょう。 僕にも覚えがありますから。 しかしそれらの味が病みつきになって、こうなっているわけですから(笑) 彼らが吸い込まれてゆくようにヨットと海の世界に夢中になっていく過程を 今まさに歩んでいるわけですね。 楽しくて楽しくてしようがないはずです。 さて、ドラゴンでは、私一人で操船と指導の両立がなかなか大変なので、 彼らのトレーナーとして、有能なクルーに参加してもらう事になりました。 日本チャレンジにも出場したことのあるT君で、これがなかなか爽やかで男前の好青年です。 余談ですが、僕はみなさんご存知の通り、 ヨットを始めその他マリンスポーツ、クライミング、バイク、音楽etcetc... 遊びの種目がとても多いです。 故に、さまざまなタイプの人々とコミュニケーションを持ち、リーダーシップを取り、 またお酒の文化や芸術も好きなので、その接点で集まってくる人々も居ます。 仕事の部分を含めるともっとそれは多種多様な人種たちや組織と接する機会が多いのですが、 ヨット界の人々だけは特別です。 年齢を重ねたいい大人たちが不思議な事にいつまでも毒されず、一様に爽やかです。 僕はそんな仲間たちと接する度に、心からホッとするのです。 (と言っても、今僕の周囲に居るヨットの仲間たちとは、最低でも同年代から年上の先輩方ばかりですが) 裏表のない単純な笑顔を見せるヨットマンは、まるで少年のようなくったくのなさです。 自然の厳しさや素晴らしさを体で体感したものたちが共有する連帯感なのでしょうか。 ドラゴンでの練習は実践タイプと決めていました。 いきなりレースに参加して、走り慣れようと考えました。 レースには3名で参加するルールなので、私とトレーナーそして新米1名という構成です。 最初のレースで僕はセイリングやヨットレースの勘を取り戻し、 2回目のレースからいよいよ新米ヨットマンもクルーとして参加することになりましたが、 あいにくのひどい悪天候。 新米クルーは、レースで敵と闘うのではなく、 すさまじい強風と揺れで恐怖と船酔いと闘う事で終始したのです。 しかし、そんな彼の事を笑えないんですよ。 よく頑張って、耐えていました。 ドラゴンのデッキには、ドラゴンくらいのサイズのヨットには通常装備されている落水防止の「ライフライン」というガードがありません。 強風の中オーバーヒール(必要以上に船体が傾くこと)し、バウ(船首)からドカーンと波につっこむ。 たちまちコクピット(操舵席)まで水が入り込む。その水をポンプで掻い出す。 この状況でデッキにしがみつくよう両手でふんばり、海に向かって嘔吐するのです。 (汚い話しですみません) 怖いのと苦しいの度が過ぎて、顔が笑うんです。 それでもその夜のDOG HOUSEでは、お客さんや仲間たちの前で 今日のヨットレースの事を何とも誇らしそうに嬉しそうに話ししていました。 あっと言う間に夏が来る頃には、2人とも真っ黒に日焼けし、 いっぱしのヨットマンに見えるほどになりました。 (内容はともかく!) そうこうして、トレーナーを除く僕とスタッフ2名の、 JIBオリジナルメンバー3名ではセーリングではできるようになったけど、レースはまだまだ無理な状態です。 しかし、今年は11月のレースで、それなりの成績を挙げる事で このズッコケチームのデビューイヤーを締めくくりたいと思っています。 我々のJIBチームが一人前のチームになるため、勝てるチームになるため、 そんな思いを込めて、この秋からJIB製品の一部に、 我々の乗るヨットの※セイルナンバーをデザインとして取り入れました。 どうか我々に力を下さい!という思いをこめて。 そして僕たちはその責任に於いてプレッシャーをかけています。 目印しはステンシルで、 『JPN 34』 です。 みなさんどうか応援をよろしく!! また、新西宮ヨットハーバーでJPN34を見かけたら(ヨットでもJIBグッズでも) みんな声をかけて下さいね! ※セイルナンバー ヨットの個体を識別する番号で所有者や管理全般を特定できる番号
by mrjib
| 2009-10-03 17:05
| Yachting
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